ウェンブリー。サッカーをちょっとでも好きな人なら、この名前を聞くだけで何か込み上げてくるものがあるはずです。
あのスタジアムで、日本代表が戦います。3月31日(日本時間4月1日午前3時45分)、相手はFIFAランキング4位のイングランド。W杯欧州予選を8戦全勝・22ゴール無失点で突破してきた、今大会の優勝候補筆頭の一角です。
・イングランドってどんなチームなんだろう
・日本に勝ち目はあるのか
と気になっている方に向けて、イングランド代表をじっくり解剖してみます。
まず数字で見るイングランドの「ヤバさ」
| FIFAランキング | 4位 |
|---|---|
| 監督 | トーマス・トゥヘル(ドイツ人・2025年1月就任) |
| 欧州予選成績 | 8戦全勝・22得点・0失点(欧州予選史上初の無失点突破) |
| 直近の主要大会 | EURO2020準優勝・EURO2024準優勝(2大会連続決勝進出) |
| W杯グループ | グループB(クロアチア・ガーナ・パナマ) |
| 最後のW杯優勝 | 1966年(自国開催)——実に60年前 |
欧州予選8試合で22点取って1点も取られていない、というのが正直ピンとこない数字です。8試合でクリーンシート8回。しかもこれ、欧州予選の歴史上初めてのことらしいですよ。
そして2大会連続でEUROの決勝まで行っているのに、最後にW杯を取ったのは60年前。ここに「今のイングランド」のすべてが詰まっています。「強いのに勝ちきれない」という呪縛を、今度こそ解こうとしているわけです。
トゥヘル監督が変えたもの|「負けないサッカー」から「勝ちにいくサッカー」へ
イングランドのサッカーをずっと見てきた人なら、サウスゲート前監督時代の「手堅すぎる」戦い方に少しモヤモヤした経験があるんじゃないでしょうか。
確かに結果は出ていた。でも、なんか見ていてスッキリしない。ウェンブリーのスタンドで退屈した観客が紙飛行機を飛ばし始めた、なんて話もありましたからね。(笑)
トゥヘルが就任会見でまず言ったのが、「選手たちは負けないようにプレーしていた。私は勝利への渇望と喜びを持ってプレーしてほしい」という言葉です。
チェルシーをCL制覇に、バイエルンをブンデスリーガ優勝に導いてきた男が、「マインドセットを変える」ところから始めたわけです。
戦術的にはトゥヘルは「柔軟な人」です。
チェルシー時代は3バックが有名でしたが、PSGやバイエルンでは4-2-3-1や4-3-3を使いこなしてきました。イングランドでは「攻撃的な選手が多いのだから、前線でプレーするべき」というスタンスで、より積極的なサッカーを目指しています。

トゥヘルの戦術遍歴
| クラブ | システム | 特徴 |
|---|---|---|
| ドルトムント | 4-2-3-1 | プレッシング重視・ポジショナルプレー |
| PSG | 4-3-3 | 豪華攻撃陣を活かした攻撃的スタイル |
| チェルシー(CL制覇) | 3-4-2-1 | ウィングバック活用・堅固な守備ブロック |
| バイエルン | 4-2-3-1 | ハイプレス・ボール保持型 |
| イングランド(現在) | 4-2-3-1 または 4-3-3 | 「攻撃的に勝つ」スタイルを構築中 |
どのクラブでも「このシステムしか使わない」という監督ではなく、手持ちの選手に合わせてシステムを変えられる人です。チェルシーでCLを取ったときは3バックが代名詞でしたが、バイエルンでは4バックに戻している。つまりイングランドでも「選手ありき」で最適解を探してくるはずで、日本戦でどのシステムを選んでくるかはギリギリまで読みにくい部分があります。
日本戦に向けた「2つのキャンプ」作戦
今回イングランドが35人という大所帯で招集したのには理由があります。
トゥヘルいわく、「まずウルグアイ戦(27日)は出場機会の少ない選手・新戦力中心で戦い、日本戦(31日)には主力を合流させて新たな組み合わせで臨む」という2段構えの作戦です。
要するに、日本戦にはケイン・ベリンガム・サカら本命メンバーが「リフレッシュした状態」で合わせてくるということ。親善試合とはいえ、割と本気の一戦になりそうです。
次の項目では一部ですが本命メンバーをご紹介します。
この選手を知っておけ|日本が特に警戒すべき5人
① ハリー・ケイン(FW・バイエルン)
今更説明は不要かもしれませんが、イングランド代表歴代最多得点記録を持つ現キャプテン。バイエルン移籍後も相変わらずゴールを量産していて、ブンデスリーガ得点王争いにずっと絡んでいます。
188cmの高さに加えて、トップ下からボランチまで下りてきてボールを捌いたり、ポストプレーから一瞬で反転してシュートを打つ動作の速さが本当に厄介です。日本のCBは「体を当てた」と思った次の瞬間にもうシュートを打たれている、ということが起きます。セットプレーでのターゲットとしても最大の脅威です。
② ジュード・ベリンガム(MF・レアル・マドリー)
22歳。レアル・マドリーのスタメン。この2つの事実を並べるだけで、どれだけの選手かが伝わるかと思います。負傷から復帰して、この日本戦に照準を合わせてきています。
一番厄介なのは「どこからでも点が取れる」ところ。ミドルシュート・ヘディング・ゴール前への飛び出しと、複数の得点パターンを持っています。遠藤航がいない今の日本の中盤で、ベリンガムを捕まえ続けられるかどうか——正直、これが試合の最大のテーマだと思っています。
③ ブカヨ・サカ(FW・アーセナル)
三笘薫が日本の左サイドを担うように、サカはイングランドの右サイドをほぼ一人で支配します。23歳。ドリブル突破・カットイン・クロス・シュートと何でもできて、しかも判断が速い。アーセナルでシーズンを通してコンスタントにゴールとアシストを重ね続けている選手です。
三笘が攻撃に出た裏のスペースを、サカが使いにくる——この攻防が90分間続くわけで、三笘にとっても攻守両面での集中力が試される試合になります。
④ デクラン・ライス(MF・アーセナル)
「プレミアリーグで今一番守備的MFとして信頼されている選手は誰か」と聞かれたら、多くの専門家がライスの名前を挙げるでしょう。ボール奪取・ゲームコントロール・縦パスの質、どれも超一流。アーセナルではチームの中心として機能しています。
日本が前に出ようとする局面で、ライスがすべてをシャットアウトしにきます。鎌田大地・藤田譲瑠チマ・佐野海舟・田中碧がどうライスを越えるか——ここを突破できないと、日本の攻撃は機能しません。
⑤ コール・パーマー(MF・チェルシー)
今回の招集で特に注目したいのが、正直フォーデンよりもこのコール・パーマーです。今季チェルシーでの出来が本当に素晴らしくて、「次世代イングランドのエンジン」として急浮上しています。ドリブル・シュート・スルーパスと何でもできて、動き方が予測しにくい。フォーデンとの同時起用でイングランドの攻撃が一段と多彩になる可能性があります。
招集メンバー(日本戦向け主力組)
| ポジション | 選手名 | 所属 | メモ |
|---|---|---|---|
| GK | ジョーダン・ピックフォード | エバートン | 正GK |
| DF | ジョン・ストーンズ | マンチェスター・C | |
| DF | マーク・ゲイヒ | マンチェスター・C | |
| DF | ハリー・マグワイア | マンチェスター・U | トゥヘル体制に復帰 |
| DF | フィカヨ・トモリ | ACミラン | |
| MF | デクラン・ライス | アーセナル | 中盤の要 |
| MF | ジュード・ベリンガム | レアル・マドリー | 負傷復帰・最注目 |
| MF | コビー・メイヌー | マンチェスター・U | 復帰 |
| MF | コール・パーマー | チェルシー | 今季絶好調・要注目 |
| MF | フィル・フォーデン | マンチェスター・C | |
| FW | ハリー・ケイン | バイエルン | 主将・歴代最多得点 |
| FW | ブカヨ・サカ | アーセナル | |
| FW | マーカス・ラッシュフォード | バルセロナ | バルサ移籍で復調中 |
| FW | アンソニー・ゴードン | ニューカッスル |
マグワイアとメイヌーがトゥヘル体制に復帰してきたのもポイントです。ライスとメイヌーのダブルボランチは中盤として相当な強度になります。バルセロナで久しぶりに輝きを取り戻したラッシュフォードもこの日本戦でのパフォーマンスも注目ポイントですね。
実は弱点もある——日本が付け入れる隙
このワールドクラスのタレント揃いで「強すぎて勝ち目ない」と思った方、少し待ってください。イングランドにも隙はあります。
弱点①:左SBが安定していない
これは、長年イングランドの悩みです。ルーク・ショー(マンチェスター・U)が今シーズンもまた負傷がちで、安定した左SBが見当たらない状態が続いています。今回の招集でも、ルイス・ホール(ニューカッスル)やニコ・オライリー(マンチェスター・C)が候補ですが、どちらも国際経験は豊富とは言えません。
ここは伊東純也が突くべきポイントです。伊東のスピードと駆け引きは、経験の浅い左SBにとって最も嫌なタイプ。ここを崩せれば日本に決定機が生まれます。
弱点②:「チームとしての攻撃」はまだ発展途上
個の質はとても高い。ただ、「チームとして崩す」という部分はトゥヘル体制でまだ構築中です。英BBCの記者が「プレーアイディアやインスピレーションが欠けている」と指摘したほどで、手堅いチームを相手にすると案外攻め手に困る場面が出てきます。
日本が守備ブロックをしっかり整えれば、相手が個の力任せに突っかかってくる局面を待てます。カタールW杯のドイツ戦・スペイン戦と同じ戦い方が通用するのであれば、チャンスはありそうです。
弱点③:大一番になると「プレッシャー」に弱い歴史
これはイングランドサポーターが最も触れたくない話かもしれませんが、EURO2020・EURO2024の決勝でいずれもPK戦で負けています。「大事な場面で硬くなる」という歴史的な傾向があります。
もし日本が先制するような展開になれば、ウェンブリーのプレッシャーが逆にイングランドにのしかかってくるかもしれません。
森保ジャパンがよく言っている立ち上がりに仕掛けるということがチームとしてしっかりできれば勝機はありそうです!
日本vsイングランドの見どころ|注目の4局面
① 三笘 vs サカ——この試合最大のマッチアップ
左ウィング・三笘薫と右ウィング・サカの直接対決は、どちらのサイドがゲームを制するかを決める鍵です。左足首の状態がまだ心配な三笘ですが、仮に万全でなくてもサカを押し込む姿勢を見せられるかどうかで日本全体の攻撃の流れが変わります。
② ベリンガムをどう管理するか
ボランチ歴代最強と言われている今の日本ので、ベリンガムの飛び出しを90分間捕まえ続けられるか。鎌田大地、田中碧、佐野海舟、藤田譲瑠チマがどこまで粘れるか。ここが試合を通じて最も重要なテーマだと思います。
③ 伊東純也が「左SBの穴」を突けるか
前述の通り、イングランドの左サイドバックは不安定です。伊東のスピードと1対1の強さで、ここを崩せるかどうか。日本の右サイドからの攻撃がこの試合の「隠れた勝負どころ」になりそうです。
④ 冨安健洋のケイン番
1年9ヶ月ぶりに代表復帰した冨安健洋がケインと対峙する可能性があります。冨安の対人守備の読みと粘り強さは、ケインのポストプレーを封じる上で最も頼りになる要素です。このマッチアップは地味に見えて、試合の結果を左右する重要な局面です。
⑤日本代表の新戦力がどこまで通用するか
佐野航大、藤田譲瑠チマ、鈴木唯人、後藤啓介、塩貝健人、安藤智哉、鈴木淳之介
今回の欧州遠征では、この新戦力のメンバーが強豪国に対して通用するのかということが一つテーマになっていそうです。この戦力がイングランド相手にどこまで通用するのかぜひ注目してこの一戦を観ておくべきでしょう。

W杯本番でも対戦する可能性がある
これは、結構重要な話です。
日本がグループFを1位通過して、イングランドがグループBを1位通過した場合、決勝トーナメントのブラケット上で準々決勝での対戦シナリオがあります。3月31日の試合は「もしかしたら本番でも戦う相手」との前哨戦かもしれない。そう思って見ると、この試合の重みがぐっと増してきます。
イングランドのグループはクロアチア・ガーナ・パナマ。突破はほぼ確実と見られています。

試合の視聴方法
W杯本番では、日本代表戦は無料で見られますが、イングランドを含む海外勢の試合はDAZNの有料プランが必要です。ケイン・ベリンガム・サカが本大会で躍動するシーンを全部追いかけたい方は、早めに準備しておくことをおすすめします。
プランの詳細はDAZNでW杯2026を見る完全ガイドをどうぞ。
まとめ
「60年ぶりの頂点」を本気で狙うイングランドが、全力で日本を迎え撃ちます。
- FIFAランク4位・欧州予選8戦全勝22得点無失点という圧倒的な実績
- ケイン・ベリンガム・サカ・ライス・パーマーと世界最高クラスが揃う
- トゥヘルが「負けを恐れるな」という新しい空気をチームに持ち込んだ
- 日本戦にはケイン・ベリンガムら主力が「リフレッシュした状態」で合わせてくる
- 弱点は左SBの不安定さと攻撃の連携がまだ発展途上な点
- 日本の勝機は三笘vsサカ・伊東の左SB攻略・冨安のケイン封じの3点
- 決勝トーナメントで再び当たる可能性もある「前哨戦」としての意味もある
- NHK Eテレで生中継(日本時間4月1日午前3時45分・ウェンブリー)
眠い目をこすりながら見る価値が十分にある試合だと思います。日本代表の最新状況は3月メンバー発表記事、グループFの詳細はグループF完全ガイドもあわせてどうぞ。
それではまた!

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