チュニジア戦は勝てる——そう思っている日本のサッカーファンは、おそらく多い。
FIFAランク41位。知名度の高いスター選手もいない。オランダの次に当たる相手だから、なんとなく「ここで取り返せばいい」と考えている人もいるはずだ。
ただ、ひとつだけ思い出してほしいことがある。
2022年のカタールW杯、チュニジアはグループリーグでフランスを1-0で下した。前年のユーロ王者に対して完封勝利。あのムバッペ、グリエズマン、デンベレ擁するフランスに、だ。2026年のアフリカ予選では10試合を無失点で突破している。ブラジルとの親善試合も1-1で引き分けた。
「格下」というイメージほど、サッカーでは危ない思い込みはない。
グループ突破のために、チュニジア戦(6月21日・日曜午後1時)は絶対に落とせない一戦だ。相手をなめてかかったチームが足をすくわれるのが、W杯というもの。この記事では、チュニジアが本当はどんなチームなのか、そして日本がきっちり勝ち点3を取るために何が必要かを整理した。
📌 この記事でわかること
✅ チュニジアの「鉄壁守備」がどれだけ本物か
✅ 最新メンバーと要注意選手(堂安律の”同僚”も登場)
✅ 4-3-3をベースにした戦術と攻撃パターン
✅ 日本vsチュニジアの過去対戦成績(意外な黒星あり)
✅ 日本が勝ち点3を取るための3つのポイント
チュニジアってどんな国?基本情報をおさらい
| 項目 | データ |
|---|---|
| FIFAランク | 41位(2025年12月時点) |
| W杯出場回数 | 3大会連続7回目 |
| W杯最高成績 | グループリーグ敗退(ただしカタールでフランスに勝利) |
| アフリカ予選成績 | 9勝1分・22得点0失点(10試合無失点) |
| 主要タイトル | アフリカネイションズカップ2004 優勝 |
| 監督 | トラベルスィー(2025年から再任) |
| 日本との通算対戦成績 | 日本5勝1敗 |
北アフリカに位置するチュニジアは、フランスの植民地だった歴史的背景から、ヨーロッパ風の組織的なサッカーを早くから取り入れてきた。アフリカ勢の中では「最も戦術的で守備が整っている」と評されることが多い。
カタールW杯でフランスに勝った、あの試合
2022年カタールW杯グループD最終戦、チュニジアはフランスを1-0で撃破した。フランスはすでに決勝トーナメント進出が決まっており、ターンオーバーで臨んでいたという事情もある。それでも、チュニジアが組織的な守備と鋭いカウンターでフランスを封じた事実は変わらない。「アフリカの格下」という先入観を崩す一戦だった。
アフリカ予選「10試合無失点」の守備は本物か
チュニジアの代名詞は守備の堅さだ。2026年W杯アフリカ予選でのデータを見ると、その凄まじさが伝わってくる。
| 項目 | 成績 |
|---|---|
| 予選成績 | 9勝1分(10試合無敗) |
| 得点 | 22得点 |
| 失点 | 0失点(10試合連続無失点) |
| 1-0の勝利 | 4試合 |
| ブラジル親善試合 | 1-1引き分け(失点はPKのみ) |
ただし、冷静に見ておく必要もある。予選の相手はナミビア・リベリア・マラウイ・赤道ギニア・サントメ・プリンシペ。率直に言えば、世界的な強豪とは言えない顔ぶれだ。無失点の数字は「守備が堅い」という事実を示すが、日本・オランダレベルの相手に対しても通用するかは、本番で明らかになる。
💡 ポイント:守備の堅さは本物だが、予選の相手レベルには注意が必要。日本が前線から積極的にプレスをかけ、高い位置でボールを奪う展開に持ち込めれば、無失点記録は崩せる。
チュニジアの戦術|4-3-3の「堅守速攻」を読み解く
チュニジアの基本フォーメーションは4-3-3(状況によって4-2-3-1)。2025年に再任したトラベルスィー監督の下、スタイルはシンプルかつ明確だ。
🔶 チュニジアの攻守パターン
① 4バックでコンパクトな守備ブロックを形成
② 相手の縦パスを中盤(スキリ)が遮断
③ ボール奪取の瞬間にメイブリ経由でカウンター
④ 前線のジェバリがポストプレーで起点を作る
⑤ 強豪相手には5バックに可変して守備を強化
特徴的なのは「守ってから攻める」の徹底ぶりだ。ブラジル戦では5バックを採用し、PK以外の失点を防いだ。日本がボールを持って攻める展開になっても、チュニジアは慌てずブロックを固めてカウンターを狙ってくる。「押し込んでいるのにゴールが奪えない」という展開が日本の最大のリスクになる。
チュニジアの注目選手4人
🟡 エリス・スキリ(フランクフルト)|攻守をつなぐ心臓
30歳のボランチで、チュニジア代表の中心選手。フランス出身でモンペリエでキャリアをスタートさせ、現在はフランクフルトで活躍中。そう、堂安律の同僚だ。相手の縦パスを読んで遮断し、奪った後に素早く前線へ展開する能力はリーグトップクラス。この選手を自由にすると、チュニジアの攻撃が一気にスムーズになる。
🟡 ハンニバル・メイブリ(バーンリー)|10番を背負う22歳
マンチェスター・ユナイテッドのアカデミー出身という異色の経歴を持つ22歳。カタールW杯では10分しか出場できなかったが、今大会では10番を背負って臨む見込みだ。豊富な運動量と創造的なパスで攻撃のリズムを作り、守備にも積極的に参加する万能型MF。攻守両面でチームを引っ張る「若きエース」だ。
🟡 イスマエル・ガルビ(アウクスブルク)|21歳のパリSG産ウインガー
パリSG育ちの21歳で、U世代のフランス代表・スペイン代表でもプレーした経歴を持つ異色のウインガー。今季はブンデスリーガのアウクスブルクへ期限付き移籍中。左サイドでの1対1とスピードを武器に、日本の右サイドを脅かす存在になりうる。
🟡 イッサム・ジェバリ(元ガンバ大阪)|日本を知り尽くすCF
カタールW杯でチュニジアの主力CFとして全3試合出場した実績を持つベテラン。注目すべきは、ガンバ大阪で3年間プレーした日本通という点だ。Jリーグで鍛えられた守備理解と、日本代表選手の特徴を知っていることは厄介な要素。最近は代表から遠ざかっていたが、11月に久々の招集を果たしており、W杯メンバー入りの可能性がある。
日本vsチュニジア 過去の対戦成績を振り返る
通算対戦成績は日本の5勝1敗と、数字の上では優位だ。ただしその1敗が、記憶に残る大敗だった。
| 試合 | スコア | ひとこと |
|---|---|---|
| 2002年W杯グループリーグ | 日本 2-0 チュニジア | W杯での唯一の直接対決。日本が快勝 |
| 2022年6月キリンカップ決勝 | 日本 0-3 チュニジア | 森保ジャパンが完敗。この敗戦が油断を戒める |
| 2023年10月キリンチャレンジ杯 | 日本 2-0 チュニジア | リベンジ成功。古橋・伊東で快勝 |
2022年のキリンカップで0-3と完敗した事実は、今も教訓として残る。あの試合のチュニジアは「守ってカウンター」を徹底し、日本の攻撃を完封した。同じ轍を踏まないためにも、チュニジアの守備ブロックの崩し方を事前に整理しておく必要がある。
日本が勝ち点3を取るための3つのポイント
🔑 ポイント① スキリへのパスコースを消して速攻の芽を摘む
チュニジアの攻撃はスキリを中心に組み立てられる。彼がボールを受けて展開するのを防ぐことが、日本の守備の最重要課題だ。
遠藤航がスキリをマンマーク気味に追うのは当然として、守田英正がスキリへの縦パスコースを消すポジショニングを徹底することで、チュニジアの「奪ってから速い」という武器を封じることができる。ちなみに堂安律はフランクフルトでスキリの特性を知り尽くしているはずで、試合前の情報共有という意味でも重要な存在になりうる。
🔑 ポイント② 早い時間帯に先制点を取る
チュニジアの戦術は「守備ブロックを固めてカウンター」が基本だ。つまり、先制されると守り方が崩れる可能性がある。逆に言えば、日本が早い時間帯にゴールを奪えれば、チュニジアは前に出てこざるを得なくなり、日本が得意とするカウンターが使いやすくなる。
試合開始から積極的に仕掛けて、相手守備が整う前の20〜30分以内に先制点を取ることが理想的だ。ここで久保建英のライン間での受け、三笘薫の左サイドの突破が機能すれば、チュニジアの守備ブロックにひびが入る。
🔑 ポイント③ セットプレーを徹底的に準備する
チュニジアは守備ブロックが堅く、流れの中でこじ開けるのは簡単ではない。だからこそ、セットプレーからの得点が試合を動かす可能性が高い。2023年のキリンチャレンジ杯での勝利(2-0)も、流れの中の崩しより個人技やセットプレーで点を取る展開だった。
チュニジアはアフリカ予選では無失点だが、セットプレー守備に絶対の強みがあるわけではない。板倉滉・谷口彰悟らが攻撃参加するCKや、久保のFKは確実な得点機になりうる。
⚠️ 最大のリスク:前がかりになったところを刺されるカウンター
チュニジアの得点パターンで最も多いのが、相手が攻め込んだ後の素早いカウンターだ。日本が焦って前がかりになり過ぎたところをメイブリ・ガルビのスピードで一発で裏を取られると非常に危険。2022年のキリンカップでの0-3大敗はまさにこのパターンだった。「攻めながらも、カウンターへのケアは怠らない」というバランス感覚が問われる。
試合展開の予想シナリオ
🔵 理想シナリオ:日本 2-0 快勝
前半のうちに久保かセットプレーで先制→チュニジアが出てきたところをカウンターか追加点で2-0。グループ突破を大きく引き寄せる最高の展開。2023年のキリンチャレンジ杯がそのまま再現できれば。
🟡 現実シナリオ:日本 1-0 辛勝
チュニジアの守備を崩しきれず、セットプレーか個人技で1点を守り切る展開。勝ち点3さえ取れれば内容は問わない。チュニジア相手の1-0は十分に現実的なスコアだ。
🔴 最悪シナリオ:引き分けまたは逆転負け
0-0で引き分けか、先制を許して追いつけない展開。日本のグループ突破に赤信号が灯る。第3戦で勝ち切るしかなくなるが、欧州PO勝者相手に必勝が求められるプレッシャーは相当なものになる。このシナリオだけは絶対に避けたい。
実は「日本を倒したことがある監督」が指揮を執る
ここまで読んで「チュニジアは研究しやすい相手かも」と思った人は、ちょっと待ってほしい。2026年1月、チュニジアはアフリカネイションズカップの低調な成績を受けてトラベルスィー監督を解任し、後任にサブリ・ラムシを招いた。
このラムシという監督、日本のサッカーファンにとってただの外国人指導者ではない。2014年ブラジルW杯でコートジボワール代表を率いて、日本に逆転勝利(2-1)を収めた張本人だ。
あの試合を覚えているだろうか。本田圭佑のゴールで日本が先制し、このまま勝てるかと思われた後半——ラムシ監督が切ったカードが、コンディション不良で先発を外れていたディディエ・ドログバの投入だった。62分にドログバがピッチに立つと、わずか2分後に同点、さらに2分後に逆転。日本は一瞬で試合をひっくり返された。
⚠️ ラムシ監督が日本をどう見ているか
ドログバ投入のタイミングには、日本の選手交代を読んだ駆け引きがあったとされている。遠藤保仁がボランチとして入ると守備の強度が下がる傾向を見越して、そのタイミングに合わせてドログバを送り込んだという見方だ。12年経って相手は変わったが、日本の交代策や守備の隙を読む嗅覚を持つ指揮官がチュニジアのベンチに座っていることは、頭に入れておく必要がある。
ちなみにラムシは現役時代、パルマで中田英寿とチームメイトだったフランス育ちのチュニジア系MF。インテルではザッケローニ監督の下でもプレーしており、日本サッカーとの縁が深い人物でもある。「日本をよく知る監督」が6月21日のベンチに立つという事実は、この試合がただの消化試合にならないことを示している。
まとめ:チュニジアは「倒せるが、油断したら倒される相手」
- W杯予選10試合無失点、フランスを倒した実績——「格下」という認識は今すぐ捨てる
- 基本戦術は4-3-3の堅守速攻。スキリを中心とした中盤の遮断とカウンターが武器
- 要注意選手はスキリ(堂安の同僚)・メイブリ(元マンU育ち)・ジェバリ(元ガンバ大阪)
- 日本が勝つための鍵は「スキリ封じ」「早い先制点」「セットプレーの精度」
- 最大のリスクは前がかりになったときのカウンター。2022年の0-3大敗を教訓に
- 6月21日(日)午後1時のこの試合こそ、グループ突破の分水嶺になる
日曜の昼1時にキックオフというこの試合、見やすい時間帯だからこそ「なんとなくで勝てそう」という空気になりやすい。でもチュニジアは、気を抜いた相手を確実に仕留めてきたチームだ。知って、準備して、全力で応援しよう。
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