3月19日のメンバー発表。28人の名前が読み上げられる中で、唯一の初招集選手として「塩貝健人」という名前が出た瞬間、多くの人が「おー!」と驚いたかも多いのではないでしょうか。
「塩貝健人」という人物を調べれば調べるほど、この選手がただ者じゃないことがわかってきます。慶應義塾大学法学部在学中に大学を休学してヨーロッパへ渡り、Jリーグをひとつも経ずにオランダ1部でゴールを量産。18億円の移籍金でブンデスリーガに引き抜かれ、20歳でW杯代表初招集。
直近ではYoutube番組のPIVOTにも出演されていました。
規格外のキャリアを歩む男、塩貝健人。何者なのか、全部まとめてみました!
まずはプロフィールから
| 生年月日 | 2005年3月26日(20歳) |
|---|---|
| 出身 | 東京都 |
| ポジション | フォワード(CF) |
| 現所属 | ヴォルフスブルク(ブンデスリーガ・ドイツ) |
| 背番号 | 7(ヴォルフスブルク) |
| 身長・体重 | 180cm |
| 経歴 | バディSC江東 → 横浜FCジュニアユース → 國學院久我山高 → 慶應義塾大学(休学)→ NECナイメヘン(オランダ)→ ヴォルフスブルク(ドイツ) |
まずは基本情報から整理しておきます。2005年生まれというのが改めてすごいですね。今の日本代表の中心選手である久保建英(1997年生まれ)より8つ下。W杯2026が開幕する6月時点でまだ21歳になったばかりという世代がガラッと若返る勢いのあるストライカーが最前線に立つかもしれないです。
ここまでの道のり|「無名」からの逆転劇
中学でユース昇格できず、「半泣きでステップを踏んでいた」
塩貝健人のスタートは、決して順風満帆ではありませんでした。
横浜FCのジュニアユースに所属していた中学時代、塩貝は自身のブログにこう書いています。「チームは順調に大量得点を重ね、続々と自分以外のベンチメンバーが交代していった中でたった1人名前が呼ばれず、コート脇で半泣きになりながらステップをしていたことは今でも鮮明に覚えています」。
試合に出られない、ユースにも昇格できない。その悔しさを胸に、國學院久我山高校へ進学します。
高校3年次、全国選手権東京予選で2ゴール——一気に名前が知られる
高校3年次の第101回全国高校サッカー選手権の東京予選準決勝、帝京高校相手に2得点を記録。本戦出場に大きく貢献したことで、一気に注目を集めます。高校選抜にも選出され、サガン鳥栖をはじめ複数のJクラブから練習参加のオファーが届き始めました。
ただ、塩貝が選んだのはプロ入りではありませんでした。
慶應義塾大学へ——「Jに行く選択肢はなかった」
AO入試で慶應義塾大学法学部政治学科に進学。関東大学サッカーリーグ3部に所属するチームでしたが、1年次からいきなり15得点を挙げて3部得点王に輝き、クラブの3部優勝にも貢献します。
ただし大学時代は一直線ではありませんでした。監督からは「前線からの守備のタスク」を要求され、うまく結果が出せない時期も。当時の監督と何度も意見が衝突し、Bチーム行きを命じられて干されたこともあったそうです。それでもゴールへの執念を手放さなかった。
横浜F・マリノスの特別指定選手として——大学2年でJ1デビュー
大学1年の18歳の段階でポテンシャルを認められ、横浜F・マリノスの加入内定&特別指定選手に。2024年4月10日のガンバ大阪戦でプロデビュー、3日後の湘南ベルマーレ戦ではプロ初ゴールまで記録。J1の舞台でも即座に存在感を見せます。
「2027年にマリノスへ正式加入する」という見通しでしたが、そこに予想外の話が舞い込んできます。
U-19代表でU-21イタリアにハットトリック——欧州が気づいた
2024年6月、U-19日本代表の一員としてフランスのモーリスレベロトーナメントに出場。U-21イタリア代表戦でハットトリックを達成し、その名を欧州に轟かせます。
ここからがとても早かったですね。複数の欧州クラブからオファーが届き、同年8月にNECナイメヘン(オランダ1部)への移籍が決定。
マリノスとの内定を解除し、大学も休学して、19歳でヨーロッパへ渡ることを決断しました。
NEC時代|スーパーサブとして「14試合9ゴール」の衝撃
NECナイメヘンはオランダ1部(エールディヴィジ)のクラブ。日本人選手には小川航基・佐野航大も所属しており、「日本人コンビ」として現地でも話題になりました。
塩貝の出場スタイルはほぼ途中出場。それでも14試合で9ゴールという驚異的な数字を残します。スーパーサブとしての能力が際立っており、NECの監督ディック・スロイデルは「彼のゴールへの嗅覚は特別なもの。練習から常にゴールを狙う姿勢が素晴らしい」と絶賛しました。
限られた出場時間でこの数字を出せるということは、チャンスの少なさを言い訳にしない「勝負強さ」があるということ。この能力はW杯のような一発勝負のトーナメントで特に輝きます。
20クラブが争奪戦——18億円で引き抜かれた
塩貝の活躍を見て動いたのが、欧州の複数クラブです。NECのテクニカルディレクターがこんな話を明かしています。「彼はNECよりも大きな20ものクラブに行ける可能性があった。通常、我々は契約解除条項を設けることはしないが、今回はそうするしかなかった。もしそうしなければ、彼は他のどこかに移籍していただろう」。
最終的にヴォルフスブルクがNECとの契約に設定されていた約1000万ユーロ(約18億円)の契約解除料を満額支払って引き抜きました。慶應大学から育成費のみで獲得したNECにとって、破格のリターンとなったわけです。
ヴォルフスブルク時代|初ゴールを決めた「36.2km/h男」
2026年1月20日、ヴォルフスブルクへ完全移籍。背番号7、契約は2030年6月まで。年俸は推定約1億3500万円とNEC時代から大幅アップです。ヴォルフスブルクは過去に長谷部誠・大久保嘉人も所属した日本人選手にゆかりのあるクラブです。
加入後5試合目で初ゴールを記録。ここまでリーグ戦7試合で1ゴールという数字ですが、チームがシーズン中盤から降格圏に沈む苦しい状況の中での数字であることを考慮する必要があります。3月には監督交代もあり、新体制の中で塩貝が改めて評価される場面が来るかもしれません。
移籍の決断について塩貝はこう語っています。「W杯のことしか頭になかった。より高いレベルで自分を試したかった」。大学休学・マリノス内定解除・18億円での移籍——すべての選択がW杯から逆算されていたわけです。
塩貝健人のプレースタイル|何が武器なのか
武器①:時速36.2kmのスプリント力
NEC時代のアヤックス戦で記録した時速36.2kmというスプリント速度は、エールディヴィジでもトップクラスの数値です。相手DFが追いつけない初速でDFラインの裏へ抜け出すシーンは、塩貝の最大の武器。「速さ」と「動き出しのタイミング」の両方が世界基準です。
武器②:フィジカルの強さ——191cmを弾き飛ばした
180cmという身長はFWとして特別大きくはありません。でも体幹の強さは本物で、3月7日のハンブルガーSV戦では身長191cmのDFを弾き飛ばすシーンがSNSで大きな話題になりました。「スピードだけの選手」ではなく、欧州の屈強なDFと真っ向勝負できるフィジカルを持っています。
武器③:限られた時間でゴールを取る「スーパーサブ力」
NEC時代の「14試合途中出場で9ゴール」という数字が象徴するように、短い出場時間でも確実に結果を出す能力が際立っています。チャンスが来た瞬間に仕留めるゴール前での冷静さ、ポジショニングの巧みさ——これはW杯のような緊張した場面で最も重宝される能力です。
「今更?」と思った方もいるかもしれません。W杯まで3ヶ月、チームを固める時期に初招集というのは確かに異例です。でも森保監督のコメントを聞くと、むしろ「なぜ今まで呼ばなかったのか」という話になっていました。
💬 森保監督のコメント(3月19日発表会見)
「招集はもっと早くても良かった。W杯で勝つために我々の最大値の可能性を考えられる選手であれば招集させてもらった方が良い。高みを目指して舞台を変えてステップアップしているところを評価した」
「もっと早くても良かった」というのは、すでに招集するに値する実力があったということ。南野拓実・久保建英という攻撃陣の主力が相次いで負傷离脱している中で、「今こそ試すタイミング」と判断したわけです。
欧州遠征での起用法予想|スコットランド戦・イングランド戦でどう使われるか
今回のスコットランド戦(3月28日)とイングランド戦(3月31日)は、塩貝にとってW杯本番メンバー入りをかけた事実上の最終審査です。
起用法として現実的なのは、NEC時代と同じ途中出場からのスーパーサブ起用でしょう。試合の流れを変えたいとき、リードしている終盤にスピードで時計を進めたいとき——塩貝の特性が最も活きる場面です。
先発で使われる可能性もゼロではありません。久保・南野不在の今の日本では、前線の選手層が薄い。特にスコットランド戦は「勝ちを求める試合」というよりも「選手を試す試合」という側面もあるため、塩貝が先発で90分近くプレーするシナリオもあり得ます。

W杯本番メンバー入りの可能性は
これが一番気になるところですよね。現状のFW陣と比較してみます。
| 選手名 | 所属 | W杯メンバー入りの現状 |
|---|---|---|
| 上田綺世 | フェイエノールト(オランダ) | 1番手。ほぼ当確 |
| 小川航基 | NEC(オランダ) | 安定した実力で有力 |
| 前田大然 | セルティック(スコットランド) | スピードと守備貢献で確立済み |
| 町野修斗 | ボルシアMG(ドイツ) | 南野不在の穴を狙う |
| 塩貝健人 | ヴォルフスブルク(ドイツ) | 今回の遠征次第で一気に浮上 |
正直、今の段階では「当確」とは言えません。でも森保監督が「もっと早く呼んでも良かった」と言っている選手です。スコットランド戦かイングランド戦でゴールでも決めようものなら、W杯本番メンバーどころか「スタメン争い」に絡んでくる可能性だってあります。
「CF枠は最後まで分からない。本大会直前に無双する選手が現れたら誰にでもチャンスがある」——この言葉通りの展開が、今まさに起きています。

塩貝健人という存在が「おもしろい」理由
サッカーファンとしてこういう選手の出現は純粋に嬉しいんですよね?
「Jリーグで実績を積んで海外へ」というこれまでの王道ルートを無視して、大学在学中に直接ヨーロッパへ飛び込んだ。U-21イタリア代表にハットトリックしたことで欧州が気づいて、20クラブが争奪戦を繰り広げた。18億円で移籍して20歳でW杯代表入り。
日本サッカーの「新しいルート」を体現している選手です。久保建英がバルセロナのカンテラで育ったように、これからの日本人選手がJリーグを経由せずに世界へ出ていくケースが増えていく——その先駆けになる可能性があります。
W杯での活躍も楽しみですし今後さらにトップレベルの欧州のクラブで活躍してくれることを期待しています!
まとめ
知れば知るほど、スコットランド戦・イングランド戦での塩貝健人のプレーが見たくなってきませんか。
- 2005年生まれ・現在20歳。慶應義塾大学法学部を休学してオランダへ渡った
- U-21イタリア代表にハットトリックを決めたことで欧州が一斉に注目
- NECで途中出場14試合・9ゴールという驚異的なスーパーサブ能力
- 20クラブが争奪戦の末、約18億円でヴォルフスブルクへ完全移籍。背番号7
- エールディヴィジ計測・時速36.2kmのスプリント力は欧州トップクラス
- 森保監督「もっと早く呼んでも良かった」と高評価
- 今回の欧州遠征でのパフォーマンスがW杯26人入りの分岐点
試合のメンバー全員の詳細は3月メンバー発表まとめ記事、試合の視聴方法はDAZNでW杯2026を見る完全ガイドをあわせてどうぞ。


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