2026年1月28日、アムステルダム。
UEFAチャンピオンズリーグのアヤックス対オリンピアコス戦を視察するために、森保一監督はわざわざオランダまで足を運んでいました。目当ては試合だけではない。スタジアムで冨安健洋と直接会い、現状を聞くためだったそう。
監督が自らDFの元へ赴く。それだけで、冨安がW杯に向けた森保ジャパンにとってどれだけ「必要な存在」なのかが伝わってきます。
この記事では、冨安健洋の苦難の経緯・アヤックスでの最新状況・3月欧州遠征(スコットランド戦・イングランド戦)への招集の可能性・そして招集された場合の起用法予想まで整理します。
💡2026年3月15日 最新情報💡
ここまでの経緯|2度の膝手術から484日ぶりの復帰まで
冨安健洋の苦難は、2024年夏から始まりました。右膝の手術を受け、10月にアーセナルで復帰したものの、わずか1試合でまた離脱。2025年2月に2度目の右膝手術を受け、シーズンはわずか公式戦6分のみで終わりました。
アーセナルでは右サイドバック・左サイドバック・センターバックをこなす「最も信頼できるDF」として頭角を現し、CL出場にも貢献。
2024年3月には年俸10億円超と言われる契約延長も発表されたばかりでした。それだけに2度の手術、そして7月のアーセナルとの契約解除は、本人にとっても周囲にとっても衝撃的な出来事でした。
日本代表から遠ざかること最後の出場は2024年6月のシリア戦。その後は無所属でリハビリを続ける日々が続きました。
アヤックスへの加入——再出発の地を選んだ理由
転機となったのが2025年12月16日。オランダの名門アヤックス・アムステルダムが、2026年6月30日までの短期契約で冨安の加入を発表しました。背番号は「32」。
欧州の複数クラブからオファーがある中でアヤックスを選んだ理由として、冨安は「熱量が高かった。自分を信じてくれていると感じた」と語っています。
また同クラブには日本代表DF板倉滉が所属しており、アンダーカテゴリーの日本代表から共にプレーしてきた「兄のような存在」(冨安談)との再会も決断の後押しになりました。
当時は「15ヶ月試合に出ていない選手をアヤックスが取るはずない」とオランダ国内で否定的な声も出ましたが、アヤックスFDは「守備ラインを安定させる助けになると確信している」と説明。クラブ側の強い熱量が冨安の信頼につながっていました。
📋 冨安健洋 プロフィール
| 生年月日 | 1998年11月5日(27歳) |
|---|---|
| 出身 | 福岡県福岡市 |
| ポジション | CB・RSB・LSB(守備的MFもこなす万能型) |
| 現所属 | アヤックス・アムステルダム(2026年6月末まで) |
| 代表歴 | 国際Aマッチ42試合1得点 |
| 経歴 | アビスパ福岡 → シント=トロイデン → ボローニャ → アーセナル(4年)→ アヤックス |
484日ぶりの復帰戦(2026年2月1日)
そして2026年2月1日、エールディヴィジ第21節のエクセルシオール戦。冨安はアーセナル時代のサウサンプトン戦以来、実に484日ぶりの公式戦復帰を果たしました。後半35分(80分頃)から左サイドバックで途中出場。
試合はアヤックスが2点リードしていたものの、冨安投入前後から守備が崩れ2-2のドロー決着。チームとしては納得のいかない結果でしたが、冨安個人は「一つステップを踏めた」「本当にうれしい」と復帰の喜びを率直に表現しました。

復帰後の最新状況|試練の日々と着実な前進
484日ぶりの復帰を果たした冨安ですが、その後の出場機会は思うように得られていません。これを理解するには、アヤックスのグリム監督の視点から状況を見る必要があります。
復帰後2試合・出場なし——監督の慎重な判断
エクセルシオール戦の後、AZ戦(2月8日)・フォルトゥナ・シッタート戦(2月14日)とベンチ入りしたものの、出番はありませんでした。また2月9日にはテルスターとの練習試合で約30分プレーするにとどまっています。
なぜ起用しないのか。グリム監督はシッタート戦後の会見でこう説明しています。「トミヤスはチームに合流した時点では、試合に出られる状態ではなかった。まだグループ練習にも参加していなかったから、復帰まで少し時間がかかった。最初は少し浮き沈みがあったが、ここ数週間は順調に進んできた」。
慢性的な怪我を繰り返してきた冨安に対し、クラブは再発防止を最優先にした「段階的な起用方針」を取っているのです。
3月1日:ズウォレ戦で2度目の公式戦出場
そして3月1日のエールディヴィジ第25節・ズウォレ戦で、冨安は77分から2度目の公式戦出場を果たしました。グリム監督はこの出場について「45分間プレーできるかもしれないが、慎重に見極めている」とコメント。少しずつ出場時間を伸ばしながらコンディションを積み上げている段階です。
なお、この時期にはかつてのアーセナルの同僚・オレクサンドル・ジンチェンコがアーセナルからアヤックスへ完全移籍。プレミア時代のチームメイトとの再会も、冨安のコンディション回復を後押しする要因のひとつになっています。
📅 アヤックスでの出場記録(2025-26)
| 2月1日 | エクセルシオール戦(第21節) | 80分〜途中出場(484日ぶり) |
| 2月8日 | AZ戦 | ベンチ入り・出場なし |
| 2月9日 | テルスター戦(練習試合) | 約30分出場 |
| 2月14日 | フォルトゥナ・シッタート戦 | ベンチ入り・出場なし |
| 3月1日 | ズウォレ戦(第25節) | 77分〜途中出場(2度目) |
数字だけ見ると出場機会は限られていますが、重要なのは「着実に前に進んでいる」という事実です。ジムトレーニング→全体練習合流→ベンチ入り→短時間出場→出場時間延長と、段階を踏んだ回復プロセスが着実に進んでいます。
そして、、!3月15日ついにスタメン出場で約70分のプレー!
ファン待望のスタメン復帰。まだ完全にはコンディションや感覚が戻っていない中、素晴らしいパフォーマンスをみせていました!これは3月度の日本代表の欧州遠征へ期待です。
3月欧州遠征の招集はあるか
日本代表は3月28日にスコットランド代表、31日にイングランド代表との親善試合を行います(イングランド戦はウェンブリー)。
冨安本人はこの遠征への参加を「3月の代表復帰 → W杯出場」という明確な目標として公言しています。
特にウェンブリーでのイングランド戦には強い思いがあります。冨安自身が「ウェンブリーでイングランドと対戦できたら面白い。アーセナルファンにもきちんとあいさつできていないので、元気な姿を見せることができたら最高のシナリオ」と語っており、4年間プレーしたロンドンへの凱旋という意味もあります。
招集するかどうかの判断について、森保監督はこう発言しています。
💬 森保監督のコメント(2026年2月時点)
「90分出られることが確認できればもちろんいいが、ピンポイントでも戦力になり得るコンディションであると見極められた時には招集したい」
このコメントから読み取れることは2点あります。
まず「90分フル出場できなくてもいい」というサインです。限定的な役割でも価値を発揮できると監督が判断すれば呼ぶ、という明確なメッセージです。
もうひとつは、最終判断は「見極め」次第という点。3月下旬までのアヤックスでの実戦出場の質と量が、招集の可否を左右します。
実際、カタールW杯でも冨安はドイツ戦・スペイン戦に途中出場し日本の勝利に貢献しています。「限定起用でも機能する」ことは証明済みで、森保監督はその実績を十分に把握しているはずです。
招集の可能性:現状の見立て
| シナリオ | 条件 | 可能性 |
|---|---|---|
| 招集・先発起用 | 3月上旬〜中旬に複数試合で先発・一定の出場時間を確保 | △ やや低い |
| 招集・限定起用(途中出場) | 出場時間が増え、コンディション確認できた場合 | ◎ 最も可能性が高い |
| 招集見送り | 3月中旬時点でも出場機会が限られ、コンディション不安定 | △ 可能性あり |
総合的に見れば、「何らかの形で招集される」可能性が最も高いと考えています!
森保監督が1月にわざわざアムステルダムに足を運んで直接面談した事実、そして3月1日のズウォレ戦で2度目の出場を果たしコンディションが上向いていること、3月14日のスタメン出場70分プレーを踏まえると、招集の条件はかなり整ってきています。
日本代表へ招集された場合の起用法予想
冨安健洋の最大の武器は、複数ポジションをハイレベルにこなせる万能性です。右サイドバック・左サイドバック・センターバック、3バック時のストッパーまで対応できます。
これは単なる「便利屋」ではなく、どこに入っても質を落とさない本物の「マルチロール」です。
パターン①:右センターバック(最も本人に合う役割)
アーセナル在籍時のベストパフォーマンスは右CBだったという見方が強いです。
対人守備・ビルドアップの両面で高い水準を保てるポジションで、コンディションが完全に戻り切っていなくても判断力でカバーしやすい。W杯本番を見据えたコンディション調整という観点では、最も理にかなった起用法です。
パターン②:途中出場でのゲームクローザー(左WBなど)
カタールW杯でのドイツ戦・スペイン戦の起用法がまさにこれでした。試合終盤にリードを守る・または同点から逃げ切る場面で投入し、守備を安定させる役割。コンディションが万全でない現状で最もリスクが低く、成果を出しやすい選択肢です。3月の欧州遠征では最も現実的なシナリオのひとつです。
パターン③:左センターバック(3バック採用時)
森保監督が3バックを採用する場合、板倉・冨安を左右のストッパーとして並べる選択肢があります。板倉と冨安は代表でも長い時間をともにしており、連携面での信頼感は高い。スコットランド・イングランドという組み立てのしっかりしたチームに対して、守備の安定感を高める構成として機能します。
🔍 起用法予想まとめ
| ポジション | 可能性 | コメント |
|---|---|---|
| 右センターバック | ◎ | コンディション次第で最有力。本人に最も合う |
| 途中出場(WB) | ◎ | カタール大会での実績あり。最も現実的 |
| 左センターバック | ○ | 板倉と並ぶ形。連携面の信頼感がある |
| 両サイドバック | △ | 4バックをオプションとして考えている場合 |
冨安健洋がいる・いないで何が変わるか
冨安が不在だった間、日本代表の守備陣は谷口・板倉・町田・伊藤洋輝らで構成されてきました。メディアからも「冨安不在を感じさせなかった」という評価が出るほど、チームは機能していました。
ではなぜ冨安が必要なのか。答えは2点あります。
① 対応力の幅
右SB・左SB・CB・3バックのストッパーすべてで一定以上の質を担保できる選手は、26人の枠の中でも貴重です。W杯のような短期トーナメントでは、怪我や相手によるシステム変更に対応できるユーティリティ性が直接勝敗に影響します。
② ビルドアップの質
もうひとつは「ビルドアップの質」。冨安はDFとしては異例なほど「ボールを持てる」選手です。CBとして逆サイドへの展開や、プレッシャー下での判断の速さは現代サッカーのCBに求められる能力そのもの。プレミアリーグ・セリエA・CL出場を経験した「欧州基準」の守備とビルドアップを、日本代表にそのまま持ち込める選手です。
また、精神的な側面も無視できません。久保建英・南野拓実・遠藤航と主力の長期離脱が続く中、冨安が代表に戻ることはチームに「戻ってきた」という空気を作ります。実力だけでなくその存在感が持つ意味は、今の日本代表にとって重要です。
W杯本番に向けたプランニング
冨安本人が描く道筋は明確です。「3月の代表復帰 → W杯出場」。アヤックスの契約は2026年6月30日。W杯開幕は6月11日。すべてのスケジュールがW杯に向けて逆算されています。
グループF(オランダ・チュニジア・欧州PO-B勝者)について、冨安はこう語っています。「欧州の国のほうがやりやすいというか、読める部分が多い。どこが来ても簡単ではないが、チームが優勝を掲げているので、W杯の舞台に立って優勝に貢献したい」。カタールW杯でドイツ・スペイン戦を経験した冨安の言葉は、根拠のある自信として受け取れます。
また、今後の移籍についてもプレミアリーグへの復帰を視野に入れており、「プレミアに戻るチャンスはあると思っている」と語っています。アヤックスでのプレーとW杯での活躍が、夏の移籍市場における最大のカードになります。怪我と手術を繰り返した27歳にとって、この半年は競技面でもキャリア面でも正真正銘の正念場です。
まとめ
- 2度の右膝手術・484日の空白を経て、2026年2月1日に公式戦復帰
- アヤックスに短期加入(2026年6月末まで)。板倉滉・ジンチェンコとチームメイトに
- 3月1日のズウォレ戦で2度目の出場。出場時間は少しずつ増加中
- 3月欧州遠征への招集について、森保監督は「ピンポイント起用も含めて検討」と明言
- 2〜3月のコンディション積み上げ次第では招集される可能性が高い
- 起用法は右CB先発または途中出場(ゲームクローザー)が現実的
- 本人は「ウェンブリーで元気な姿をアーセナルファンに見せるのが最高のシナリオ」と語る
- W杯での活躍がプレミア復帰への足がかりにもなる
3月の代表メンバー発表は遠征の約2週間前。アヤックスでの出場状況が最大のカギを握ります。続報が出次第、この記事は随時更新します。
日本代表の守備ラインと戦術全体については森保ジャパン戦術解説記事、グループステージの対戦相手についてはグループF完全ガイドもあわせてどうぞ。

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